CakePHP : 同カラムに対する複数のLIKEを連結する
前回の続き。
前回はPostrgreSQLから配列を取り出す方だったが、次はそれを使う方。
対象のテーブル
データ
product_id | code | tag | publisher |
---|---|---|---|
101 | 123456 | 書籍,技術書,Java | オライリー |
102 | 234567 | 書籍,技術書,PHP | ソフトバンククリエイティブ |
103 | 345678 | 書籍,技術書,PHP | ソフトバンクパブリッシング |
104 | 456789 | CD,アニメ,アイカツ | ランティス |
NGフィルタ
target | filter_string |
---|---|
tag | CD |
tag | Java |
publisher | ソフトバンククリエイティブ |
データに対して、NGフィルタをかけたい、というもの。
結果としては、
product_id | code | tag | publisher |
---|---|---|---|
103 | 345678 | 書籍,技術書,PHP | ソフトバンクパブリッシング |
こうなることを想定する。
ストアドを使って一撃でやってもいいのだが、メンテが大変なので間にPHPを挟んで、NGフィルタの取得と、その結果をWHERE句に含めた取得クエリの2回発行することにする。
CakePHP のWHERE句指定方法
CakePHPでは、SQLそのものの作成はモデルクラスに任せることになっている。
このため、SELECT句やFROM句、WHERE句の配列をモデルクラスに渡すことまでがコントローラというロールの限界であり、これ以上のところに踏み込んではいけない。
だが、このWHERE句がややこしくてちょっとハマった。
今回のNGフィルタでは NOT LIKE 〜〜〜 AND NOT LIKE 〜〜〜 AND ・・・という風にANDで接続していけばいい。
この配列を作る。
結論から言うと、今回の場合求められる配列は以下のようになる。
<?php $conditions = array( array('tag NOT LIKE'=>'%CD%'), array('tag NOT LIKE'=>'%Java%'), array('publisher NOT LIKE'=>'%ソフトバンククリエイティブ%'), );
明示的に書かない限り、ANDで連結されるようになっている。
また、演算の種類を省略すると、イコールになる。
今回はANDは省略し、NOT LIKE を指定している。
下記のようなシンプルな形もあるのだが、
<?php $conditions = array( 'tag NOT LIKE'=>'%CD%', 'tag NOT LIKE'=>'%Java%', // ←キーの重複 'publisher NOT LIKE'=>'%ソフトバンククリエイティブ%', );
今回は同じカラムに対して同じ判定方法で複数の条件があるため、キーが重複してしまい、後者を使うことができない。
なので、前者を作るために、前回の記事の内容を使う。
WHERE句のもととなる配列を作る
さきほどのこのクエリを使って、
SELECT target, json_agg(filter_string) AS json_filter FROM filters GROUP BY target
こうする
target | json_filter |
---|---|
tag | ["CD","Java"] |
publisher | ["ソフトバンククリエイティブ"] |
そうなったら、こうする
<?php $conditions=array(); foreach($filters as $filter){ $target=$filter['Filter']['target']; foreach(json_decode($filter['Filter']['json_filter']) as $filterString){ $conditions[]=array($target.' NOT LIKE'=>'%'.$filterString.'%'); } }
すると$conditionsはこうなって完成
<?php $conditions = array( array('tag NOT LIKE'=>'%CD%'), array('tag NOT LIKE'=>'%Java%'), array('publisher NOT LIKE'=>'%ソフトバンククリエイティブ%'), );
実際に取得する
こうだ
<?php $result = $this->Data->find('all', array( 'fields' => array('Data.*'), 'conditions' => $conditions, ));
以上だ!
余談
PHPでは、array()を用いた配列の宣言時にデータを入れる場合、最終要素の後にカンマを余分にいれてもエラーにならない。
一見ややこしい仕様だが、これには実用上かなり助けられている。
たとえば、以前こうなっていたデータが、
<?php $conditions = array( array('tag NOT LIKE'=>'%CD%'), array('tag NOT LIKE'=>'%Java%'), array('publisher NOT LIKE'=>'%ソフトバンククリエイティブ%') //←カンマがないことに注目 );
誰かの編集でこうなったとする
<?php $conditions = array( array('tag NOT LIKE'=>'%CD%'), array('tag NOT LIKE'=>'%Java%'), array('publisher NOT LIKE'= '%ソフトバンククリエイティブ%'), //←カンマがあることに注目 array('publisher NOT LIKE'=>'%ランティス%') );
これらの2ファイルでdiffを取ると、意味上では1行の変更で1要素の追加であるにもかかわらず、カンマが追加されていることによって、感覚的に変更されていない3番目の要素も変更した行となってしまう。
バージョン管理システムやdiffツールで変更があった箇所を精査する際、この元から書いておけばよかったカンマ1個のために、精査する行が増えてしまう。
さらに、よくある変更ではあるので、なんだカンマだけの変更か、と軽く見てしまうと、実はその行にもう1箇所変更があり、文法エラーが新たに混入したことに気づけない。
上記のため、筆者は必ず最後の要素でもカンマを書き込んでいる。